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トルーマン・カポーティを知る8つのキーワード

トルーマン・カポーティは1924年9月30日、アメリカのルイジアナ州ニューオリンズに生まれました。19歳で発表した「ミリアム」』でオー・ヘンリー賞を受賞し、23歳で初めての長編「遠い声 遠い部屋」を出版、若き天才作家として注目をあびます。「ティファニーで朝食を」は映画化され大ヒットし、また「冷血」ではノンフィクションノベルという新ジャンルを切り開きます。一作ごとに変わる作風に加え、本人のスター性でメディア話題を振りまきました。今回は彼に関するトリビアをご紹介します。

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1.名前:出生時の名前はカポーティではなかった

出生時の名前はトルーマン・ストレックファス・パーソンズ(Truman Streckfus Persons)です。離婚した母がジョゼフ・ガルシア・カポーティと再婚したため、1935年に彼の名はトルーマン・ガルシア・カポーティとなりました。子供の頃のあだ名は「ブルドッグ」でした。


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2.独学:11歳で最初の物語を書いた

カポーティは両親の離婚のため、カポーティはルイジアナ、ミシシッピー、アラバマなどアメリカ南部の遠縁の家を転々として育った孤独な子供でした。学校に入る前に彼は自分で読み書きを覚え、11歳になる頃には最初のショートストーリーを書いています。母親と共にニューヨークに引っ越してからは様々な有名高校に通いますが、17歳で雑誌「ザ・ニューヨーカー」で働き始め、大学には行きませんでした。

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4.ハーパー・リー:アラバマ物語の登場人物のモデルになる

カポーティはアラバマ在住時代に「アラバマ物語」の著者、ハーパー・リーの隣人で幼なじみでした。ハーパー・リーは同書に登場するディルをカポーティをモデルとして描きました。またカポーティが「冷血」の取材を行った際には彼女が助手として同行しています。

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3.ザ・ニューヨーカー:ロバート・フロストにクビにされる

ザ・ニューヨーカーでの彼の仕事はコピーボーイと呼ばれる雑用だったようです。ある日、読書中の詩人ロバート・フロストの邪魔をして怒りをかい、仕事をクビになります。その後すぐにデビュー作「ミリアム」を書き上げオー・ヘンリー賞を受賞しました。

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4.ティファニーで朝食を:主演はマリリン・モンローを予定していた

カポーティは同作の映画化に際し、友人のマリリン・モンローを望んでいました。しかし、彼女の演技コーチがマリリンのイメージが悪くなると断られたためオードリー・ヘップバーンに話がまわりました。彼女もカポーティの友人で彼がイメージに合わないと思っていることを知っていたのですが、監督のブレイク・エドワーズが説得し、演じることになりました。
また、カポーティは主役の名前を「コニー・ガスタフソン(Connie Gustafson)」にしようと思っていました。その後「ホリディ・ゴライトリー」に変更し、最終稿で「ホリー・ゴライトリー」に定めました。


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5.迷信:カポーティは異常なほど迷信深かった

カポーティは迷信深く、様々なこだわりがありました。そのため以下のようなルールを厳格に守って生活していました。

  • 金曜日に仕事を始めたり終わらせたりしない。
  • 毎月13日には絶対仕事をしない。
  • ホテルの部屋の電話番号が13を含んでいたら部屋を変える。
  • 灰皿にタバコの吸殻を3本残してはならない。
  • 階段の13段目は飛ばす。
  • ベッドに帽子を置きっぱなしにしない。
  • 赤ちゃんの頃の毛布を死ぬまで持ち歩いていた。


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6.執筆時のこだわり:執筆時は横になり、鉛筆で書く

パリス・レビュー誌のインタビューに答えてカポーティは「私は完全な水平作家だ。」と述べています。ベッドでも長椅子でもよいので完全に横にならないと何も考えられないそうです。コーヒーとたばこを持って横になり、午後にはそれがミントティー、シェリー、マティーニに変わっていきました。執筆にはBlackwing 602という鉛筆を用いていてタイプライターは使いませんでした。

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7.悪夢:カポーティには繰り返し見る悪夢があった

カポーティは同じ悪夢を繰り返し見たといいます。「劇場で芝居の重要な役を与えられているのに、始まる直前にセリフをまったく思い出せなくなり、その内、幕があいてふらふらと舞台に登場する」というものだそうです。現実世界では「名探偵登場」や「アニー・ホール」にカメオ出演していました。

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8.遺灰:カポーティの遺灰は半分埋葬された

カポーティの死後、遺灰はメル・トーメなどの有名人が眠るロサンゼルスのウエストウッド・メモリアル・パークの霊廟に埋葬されました。しかし、埋葬されたのは遺灰の半分だけでした。残りの一部が友人のジョアン・カーソンに託され、その他はパートナーだったジャック・ダンフィの遺灰とともにロングアイランドに撒かれました。最近ジョアン・カーソンが亡くなり、カポーティの遺灰はオークションに出品され4万5千ドルで落札されました

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By Meribona - Own work, CC BY-SA 3.0

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